神経痛(慢性疼痛)の幹細胞治療とは
年齢とともに増える「続く痛みやしびれ」に対し、これまでの治療に加えて、再生医療という選択肢について相談したいと考える方もいます。
神経痛は、神経の傷つきや働きの変化によって起こる痛みです。幹細胞治療は、神経痛が長期化しやすい病態に働きかける可能性が研究されている再生医療の一つです。
この記事では、一般に「神経痛」と呼ばれることの多い神経障害性疼痛を中心に解説します。神経障害性疼痛とは、感覚を伝える神経に病気や損傷が生じることで起こる痛みです。※1
*一方、慢性疼痛は、3か月を超えて続く、または繰り返す痛みを広く指す言葉であり、神経障害性疼痛以外の痛みも含まれます。※2
*幹細胞治療については、人を対象にした研究がまだ限られており、一般的な神経痛に対する標準治療として確立されたものではありません。※3
こんな症状の方にご提供しています
以下のような痛みやしびれが続き、原因の確認や治療の選択肢について医師に相談したい方からご相談を受けています。
- ピリピリ、ジンジン、焼けるような痛みやしびれが続く
- 衣服が触れる、風が当たるなど、軽い刺激でも痛みを感じる
- 帯状疱疹、糖尿病、けが、手術後などから痛みが続いている
- 痛みやしびれがストレスとなり、外出・仕事・趣味を控えるようになった
- 原因を確認したうえで、再生医療を含む選択肢を知りたい
ただし、症状だけで神経痛と診断することはできません。急に強くなった痛み、筋力低下、歩きにくさ、排尿・排便の変化、発熱などを伴う場合は、早めに医療機関を受診してください。
東京リライフクリニックの取得科目
東京リライフクリニックでは、「再生医療等安全性確保法」に基づき治療内容・細胞の取扱い・管理体制等について審査を受けた再生医療等提供計画を提出し、厚生労働省により受理された幹細胞治療を提供しています。
受理番号PB3240263:自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛治療

プロセスから見る神経痛の原因
神経痛の原因は、神経の圧迫、糖尿病、帯状疱疹感染後、けがや手術後の影響などさまざまです。まずは原因を確認し、必要に応じて標準的な診断・治療を優先することが重要です。そして神経痛は、神経が傷ついた直後だけに起こるものではありません。
通常は、傷ついた組織の回復とともに炎症が落ち着き、痛みも軽くなっていきます。しかし、神経が刺激を受け続けたり神経の反応が過敏な状態が続いたりすると、痛みが長引くことがあります。
急性期:神経の損傷による初発の痛み
けが、手術、帯状疱疹、神経への圧迫などをきっかけに、神経が刺激されると痛みやしびれが起こることがあります。また、糖尿病などによって神経の障害が徐々に進み、痛みやしびれが現れる場合もあります。

ただし、痛みの出方が似ていても原因は異なります。神経が強く圧迫されている場合や、血糖コントロールが十分でない場合などは、原因そのものに対する治療が必要です。
修復の分岐点:炎症や刺激が続くと痛みが残りやすくなる
本来であれば、神経が傷ついた後は炎症が落ち着き、組織の修復が進むにつれて痛みも和らいでいきます。
しかし、神経への刺激や炎症が長期間続くと、神経の修復過程が十分に進まず、神経が過敏な状態が持続することがあります。
- 持続的な刺激:圧迫や高血糖、炎症が続く
- 免疫システムの暴走:修復細胞(マクロファージ)が逆に炎症物質を撒き散らし始める
- 修復能力の限界:ダメージが大きすぎて追いつかない
こうした状態が重なると、痛みを伝える神経が刺激に反応しやすくなり、痛みやしびれが長引くことがあります。

ただし、免疫に関わる細胞の働きは一様ではなく、神経痛が長引く背景も原因疾患や神経の状態によって異なります。痛みが続く場合は、神経を刺激している原因が残っていないかを確認し、必要に応じて原因そのものへの治療を検討することが重要です。
末梢感作(神経センサーの誤作動)
末梢感作とは、傷ついた神経やその周囲が過敏になり、通常であれば痛みにならない刺激も痛みとして伝わりやすくなる状態です。
衣服が触れる、少し押される、温度が変わるといった刺激がつらく感じられることがあります。

ただし、末梢感作は神経の働きが過敏になっている状態を説明する考え方です。症状、診察所見、必要に応じた検査を総合して評価します。※1
中枢感作(痛みの記憶が固定化)
痛みが長く続くと、脳や脊髄にある「痛みを受け取る回路」も敏感になり、痛みを強く感じたり、痛む範囲が広がったように感じたりすることがあります。これを中枢感作と呼びます。

ただし、中枢感作は、痛みが本人の思い込みで起こっているという意味ではありません。神経系の働き方が変化し、痛みを感じやすい状態になっている可能性を説明するものです。※1
再生医療による治療のメカニズム
神経を強く圧迫している病気など手術を含めた直接的な治療が必要な場合は、幹細胞治療だけで原因を解決することはできません。
そのうえで、炎症が長引きやすい状態や神経が過敏になった状態に対して、幹細胞がどのように関係するかが研究されています。
1.免疫調節作用
幹細胞には、炎症を強める信号と修復を助ける信号のバランスに働きかける可能性があると考えられています。慢性的な炎症によって神経が過敏になっている場合、免疫に関わる反応をどのように整えられるかが研究テーマの一つです。※3
※免疫の働きは複雑です。幹細胞治療によって、すべての炎症や痛みを抑えられるわけではありません。
2.抗炎症作用
炎症が続くと、神経は刺激に反応しやすい状態になります。
幹細胞が分泌する物質には、炎症反応に影響する可能性があるとされ、痛みが伝わりやすい状態を整えるアプローチとして研究されています。※3
ただし、抗炎症作用が示唆されていても、神経痛の改善効果を一律に保証するものではありません。痛みの原因、期間、神経の状態によって反応は異なります。
3.パラクリン効果
幹細胞治療は、投与した細胞が体内で成長因子や細胞外小胞を放出し(パラクリン効果)、神経や組織の修復を促すことで、慢性的な痛みの改善が期待されています。※3

神経痛に対する幹細胞治療の研究報告
神経痛に対する幹細胞治療について、人を対象に行われた臨床研究やそれらをまとめた研究を紹介します。
研究内容 | 規模 | 主な報告・限界 |
|---|---|---|
自己脂肪由来幹細胞の局所注射が人間の神経障害性疼痛を軽減できるかの検証※4 | 10名 | 6か月後の痛みの強度が有意に減少した。 |
慢性期脊髄損傷後の神経障害性疼痛に対し、自己骨髄幹細胞を髄腔内投与した研究※5 | 10名 | 3回の投与後、痛みのスコアは経時的に有意に低下したと報告された。 |
脂肪由来幹細胞の点滴投与による慢性疼痛の改善についての研究※6 | 28名 | 疼痛障害評価尺度において有意に改善。 |
臍帯幹細胞によるリウマチ患者の有効性※7 | 17名 | リウマチの指標及び慢性疼痛、顔のこわばりなどが有意に改善 |
※これらの研究は全て小規模臨床です。治療効果を保証するものではありません
※対象となった病気、細胞の種類、投与方法、評価項目はそれぞれ異なります。
幹細胞治療の副作用・合併症・注意事項について
治療効果には個人差があります。本治療は未承認の自由診療であり、当院運営の細胞培養センターにて加工した自己細胞を使用します。また、本治療を受けることによる危険性としては、皮下脂肪の採取や細胞の投与に伴い、合併症や副作用が発生する場合があります。代表的なものとして脂肪採取時には、出血や腫れ、アナフィラキシーなど、また投与時もアナフィラキシー、肺塞栓、吐き気などの可能性があります。
幹細胞治療の副作用、合併症、注意事項についてのページをご覧ください。
治療の流れ
幹細胞治療は大きく分けて点滴または局所注射による投与のどちらかがメインですが、脂肪採取や培養の流れなど大まかな流れは変わりません。
詳細については幹細胞治療の流れをご覧ください。
料金
点滴スタンダード幹細胞 1回
年間保管料
参考文献
※1 Finnerup NB, et al. Physiol Rev. 2021.
※2 Treede RD, et al. Pain. 2019.
※3 Zhang WJ, et al. Front Cell Dev Biol. 2025.
※4 Vickers ER, et al. J Pain Res. 2014.
※5 Vaquero J, et al. Neurosci Lett. 2018.
※6 Mabuchi K, Takahashi Y, Iketani M, et al. Stem Cells Dev. 2025.
※7 Wang L, Wang L, Cong X, et al. Stem Cell Res Ther. 2013;4(4):86.
※8 厚生労働省 e-再生医療. 自己脂肪由来幹細胞を用いた慢性疼痛治療の説明書.
※9 厚生労働省. 再生医療等提供計画の提出等について(概要)
※10 厚生労働省. 再生医療等製品の製造販売承認申請に際し留意すべき事項について. 2014.



