ED(勃起不全)に対する幹細胞治療とは
幹細胞によるED治療は、患者さまご自身の脂肪組織から採取・培養した自己脂肪由来幹細胞を陰茎へ局所投与し、血管・平滑筋・神経を支える組織環境への働きかけを通じて、EDの改善を目指す再生医療です。
EDの標準治療では、生活習慣や基礎疾患の管理、PDE5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィルなど)、陰茎海綿体注射、陰圧式勃起補助具、手術などが、原因や重症度に応じて検討されます。幹細胞治療は、こうした治療で十分な改善が得られない場合に、組織修復という観点から研究されている選択肢です。※1
こんな症状の方にご提供しています
- ED治療薬を適切に使用しても、勃起の硬さや持続が十分に得られない方
- 糖尿病、脂質異常症、高血圧などを背景に、血管性EDが疑われる方
- 前立腺手術後など、神経や血管の損傷が影響でEDが続いている方
- ED治療薬の副作用、併用薬、持病などにより、薬物治療の継続が難しい方
- 加齢とともに勃起機能が低下し、医学的な評価と治療を希望される方
- AGA治療の副作用でEDを併発しているが、AGA治療を続けたい方
※症状が似ていても、原因や基礎疾患、服薬状況、悪性疾患の有無や治療歴などにより、治療の適応や優先順位は異なります。最終的には医師の診察を通して治療の可否を決めます。
東京リライフクリニックの取得科目
東京リライフクリニックでは、「再生医療等安全性確保法」に基づき治療内容・細胞の取扱い・管理体制等について審査を受けた再生医療等提供計画を提出し、厚生労働省により受理された幹細胞治療を提供しています。
受理 PB3250002:自己脂肪由来幹細胞を用いたED(勃起不全)治療

EDの主な原因
陰茎海綿体は、血管と平滑筋を多く含むスポンジ状の組織です。性的刺激によって血管と海綿体平滑筋が弛緩し、海綿体へ血液が流れ込むことで内部の圧が高まり、勃起が成立します。血流が不足したり、海綿体の平滑筋が線維化して広がりにくくなったりすると、十分な硬さを保ちにくくなります。※2

ここでは特に多い原因についていくつか紹介します。
血管性ED(動脈硬化・血流障害)
血管性要因はEDの代表的な原因であり、多くの症例に関与します。加齢・糖尿病・高血圧・脂質異常症・喫煙などにより血管内皮が固くなり、動脈硬化が起こります。動脈硬化が起こると陰茎海綿体への血流が慢性的に不足し、この状態が長引くと、海綿体の組織が徐々に固くなり、線維化が起こります。
動脈硬化は血液を運ぶ血管側の問題、海綿体線維化は血液を受け入れる組織側の問題であり、いずれも海綿体への充血を妨げ、EDに関与します。
神経性ED(糖尿病性神経障害、前立腺手術後など)
性的刺激を陰茎へ伝える神経が障害され、海綿体の血管や平滑筋を弛緩させる指令が十分に届かなくなります。
内分泌性ED(テストステロン低下)
テストステロンの低下や内分泌疾患などにより、性欲や性的刺激に対する反応が低下し、勃起機能に影響が生じます。
心因性ED(ストレス・うつ・パフォーマンス不安)
ストレス、抑うつ、不安、過去の失敗経験、パートナーとの関係などの心理的要因によって、勃起反応が妨げられます。
混合型ED(複数要因の重複)
血管や神経、ホルモン、心理的要因などが複数重なって生じ、実際の診療では一つの原因に限定できない場合も少なくありません。

特に血管性EDは、心血管疾患に先行して現れることがあります。また、糖尿病や脂質異常症などの代謝性疾患を背景に生じている場合もあります。自己判断で「加齢のため」と片づけず、必要に応じて血糖や脂質、血圧、テストステロンなどを評価することが大切です。※1
EDはどう進行するの?
糖尿病・喫煙・肥満などに伴う酸化ストレスや慢性的な炎症が続くと、血管内皮では一酸化窒素(NO)を介した血管拡張が起こりにくくなります。さらに、こうした状態が長期化すると、海綿体の平滑筋が減少し、コラーゲンなどの線維成分が増える「線維化」が進むことがあります。※2
線維化が進むと、海綿体は血液を受け入れて十分に広がる力を失い、勃起の硬さや持続時間が低下します。重症の血管性EDや糖尿病性EDでは、PDE5阻害薬を服用しても反応が乏しくなる場合があります。

この絵は陰茎が炎症を経て線維化するプロセスを表した図です
一方で、進行の程度は原因や基礎疾患の管理状態、生活習慣、治療開始時期によって異なります。血糖・血圧・脂質の管理、運動、減量、禁煙などは、ED治療と並行して行うべき基本的な対策です。※1
※すべてのEDが同じ経過で線維化し、必ず治療薬が効かなくなるわけではありません。進行の見通しは個人差が大きく、症状だけから組織の状態を断定することはできません。
ED治療薬(バイアグラなど)のメカニズムとその「限界」
バイアグラ(シルデナフィル)などのPDE5阻害薬は、性的刺激によって生じるNO-cGMP系の働きを保ち、陰茎の血管と海綿体平滑筋を弛緩させて血流を増やす薬です。※1
東京リライフクリニックでもバイアグラとシアリスの2種類をご用意しています。
項目 | バイアグラ | シアリス |
|---|---|---|
有効成分 | シルデナフィル | タダラフィル |
主な作用 | PDE5の働きを阻害し、血流を改善 | PDE5の働きを阻害し、血流を改善 |
特徴 | 比較的短時間でピークに達する 力強い勃起を促す | 効果は比較的ゆるいが長時間持続 副作用が出にくいとされることが特徴 |
食事の影響 | 比較的受けやすい | ほぼ受けない |
使用方法 | 経口投与 性行為の約1時間前に服用 | 経口投与 性行為の約1〜3時間前に服用 |
持続性 | 約4〜5時間 | 最大約36時間 |
主な副作用 | 血管拡張による顔のほてり、頭痛、動悸、鼻閉、視覚異常など | 頭痛、ほてり、消化不良、背部痛、筋肉痛など |
PDE5阻害薬はEDの第一選択として有効性が確立していますが、血管や神経の障害そのものを直接再生したり、すでに生じた海綿体線維化を取り除いたりする治療ではありません。そのため、重度の血管障害や糖尿病性神経障害、前立腺手術後などでは、十分な効果が得られないことがあります。
効果が乏しい場合でも、服用量や服用のタイミング、食事の影響、性的刺激の有無などを見直すことで改善することがあります。まずは医師の指導のもとで適正使用を確認し、より根本的な原因にアプローチしたい場合、再生医療などの選択肢も検討出来ます。
再生医療による治療のメカニズム
幹細胞は、投与した細胞がそのまま血管や神経に置き換わるというよりも、細胞から分泌される成長因子やサイトカインを通じて周囲の細胞に働きかける「パラクライン作用」が重要と考えられています。ED領域では、次のような作用が研究されています。※3
1.血管新生促進(VEGF・HGF分泌)
幹細胞が分泌するVEGF(血管内皮増殖因子)やHGF(肝細胞増殖因子)などを介して、血管内皮の修復や微小血管形成を支える可能性が研究されています。
2.抗炎症・抗線維化作用(HGF、MMP)
幹細胞から分泌される抗炎症物質に加え、HGF、MMPが、平滑筋の減少やコラーゲンの過剰蓄積を抑えることで、海綿体組織の柔軟性を保つ可能性が報告されています。※4

3.神経再生・保護作用(BDNF・NGF分泌)
BDNF(脳由来神経栄養因子)やNGF(神経成長因子)など、神経の生存や修復に関わる因子を介した作用が報告されています。※3、※5
※VEGF、HGF、MMP、BDNF、NGFなどを介した作用は、主として基礎研究や小規模研究から提案されたメカニズムです。
EDに対する幹細胞治療の研究報告
EDに対する幹細胞治療では、前立腺全摘除術後のEDや糖尿病に伴う難治性EDを対象とした人の臨床試験が報告されています。
2025年の系統的レビュー・メタ解析では、主に治療前後の比較において、6か月時点の勃起機能指標などに改善が示唆されました。一方、研究ごとに細胞の種類、投与量、回数、対象患者が異なり、比較対照を置いた試験が少ないことが課題とされています。※6
研究内容 | 規模 | 主な報告 |
|---|---|---|
前立腺全摘除術後の難治性EDに対し、自家脂肪由来再生細胞を陰茎海綿体へ1回投与し、12か月追跡※7 | 21名 | 尿禁制が保たれていた15名のうち8名で、性交に必要な勃起が得られたと報告。 |
前立腺全摘除術後EDに対し、自家骨髄単核球を用いた用量漸増試験※8 | 12名 | 高用量群を中心にIIEF、勃起硬度、血流指標の改善を報告。 |
PDE5阻害薬に反応しにくい糖尿病性EDに対し、臍帯由来間葉系幹細胞を2回投与※9 | 22名 | 12か月までIIEF-5、勃起硬度、陰茎血流指標の改善を報告。 |
糖尿病性EDに対し、自家骨髄由来間葉系幹細胞を2回投与し、24か月追跡※10 | 8名 | IIEF-5と勃起硬度は6か月で最大となり、12か月では治療前より高値だったが、24か月では治療前との差が認められなかった。 |
難治性の糖尿病性EDに対し、胎盤由来間葉系幹細胞、低出力衝撃波、両者併用を比較※11 | 33名 | 6か月時点で各群のIIEF-EFが改善し、併用群では単独群より高い値を報告。性交成功率には群間差はない。 |
PDE5阻害薬などで効果が得られない糖尿病性ED患者を対象とした幹細胞治療 ※12 | 20名 | 6ヶ月後でもIIEF5スコアにおいて有意に改善。陰茎動脈血流は改善傾向。 |
※これらの研究は全て小規模臨床です。治療効果を保証するものではありません。
いきなり幹細胞治療は不安という方へ
幹細胞のための脂肪採取の手術は不安、少し効果を確かめてから検討したい——そんな方には、幹細胞培養上清液によるED治療をご用意しています。生きた細胞は含みませんが、幹細胞が分泌する成長因子などを含み、手軽に試したい方に適した選択肢です。
幹細胞治療の副作用・合併症・注意事項について
治療効果には個人差があります。本治療は未承認の自由診療であり、当院運営の細胞培養センターにて加工した自己細胞を使用します。また、本治療を受けることによる危険性としては、皮下脂肪の採取や細胞の投与に伴い、合併症や副作用が発生する場合があります。代表的なものとして脂肪採取時には、出血や腫れ、アナフィラキシーなど、また投与時もアナフィラキシー、肺塞栓、吐き気などの可能性があります。
治療の流れ
幹細胞治療は大きく分けて点滴または局所注射による投与のどちらかがメインですが、脂肪採取や培養の流れなど大まかな流れは変わりません。
料金
局所注射ED(陰茎)治療
参考文献
※1 European Association of Urology. EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health: Management of Erectile Dysfunction. 2026.
※2 Sangiorgi G, et al. Biomedicines. 2021.
※3 Fu X, et al. Front Med (Lausanne). 2025.
※4 Suk KT, Yoon JH, Kim MY, et al. Hepatology. 2016;64:2185-2197.
※5 Sun C, et al. Int J Androl. 2012.
※6 Senel S, et al. BMC Urol. 2025.
※7 Haahr MK, et al. Urology. 2018.
※8 Yiou R, et al. Eur Urol. 2016.
※9 Al Demour S, et al. Urol Int. 2021.
※10 Al Demour S, et al. Basic Clin Androl. 2024.
※11 Ji YH, et al. Stem Cell Res Ther. 2025.
※12 Mirzaei M, Bagherinasabsarab M, Pakmanesh H, et al. Urol J. 2021;18(6):675-681.
よくある質問
- Q:ED治療は、前立腺手術から時間がたっていても相談できますか?A:
はい、相談できます。ただし、神経温存の状況、手術後の期間、現在の勃起機能、これまでの治療反応などにより、治療の見通しや選択肢は異なります。診療情報がある場合は、検討の参考となることがありますので持参してください。
- Q:ED治療薬を服用中でも相談できますか?A:
はい。相談できます。薬の種類、用量、服用方法、効果、副作用などを確認し、必要に応じて適正使用の見直しや、幹細胞治療を含む他の選択肢を検討することがあります。自己判断で中止や増量をしないでください。
- Q:EDの初診時に持参したほうがよいものはありますか?A:
服用中の薬が分かるお薬手帳、健康診断や血液検査の結果、糖尿病・心血管疾患・前立腺疾患などの治療情報があると、原因評価や治療選択に役立ちます。
- Q:ED治療は、パートナーと一緒でなくても受診できますか?A:
お一人で受診できます。治療方針を考えるうえでパートナーとの関係や希望を伺うことはありますが、同伴は必須ではありません。
- Q:ED治療は、糖尿病の治療中でも受けられますか?A:
はい、可能性はあります。当院では糖尿病に対する幹細胞治療も行っており、点滴により全身の血管状態を改善することで、EDの局所注射の単独治療より効果を見込めることがあります。ただし、現時点の身体のコンディションを総合的に確認する必要があるため、既往歴、診断書、服薬記録、血液検査などをご確認させていただく必要があります。また、幹細胞治療だけで全てを改善出来るわけではありません。主治医と確認しながら必ず標準治療も継続していただくようお願いしております。
最終的な治療の適用については医師の診察を通して判断しています。

監修医師:津坂 憲政
専門は自己免疫疾患、炎症制御、全身性疾患の統合的診療。日本内科学会認定内科専門医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医。日本内科学会、日本リウマチ学会、American College of Rheumatology所属。再生医療と内科的知見を融合した包括的医療の実践に取り組む。
TEAMS(医師・培養士紹介)



