幹細胞による肝機能障害治療とは
肝機能障害は、脂肪肝、肝硬変も含む健康診断などでAST、ALT、γ-GTPなどの血液検査で異常を指摘された際に用いられる総称です。
幹細胞を用いる再生医療は、肝臓の炎症や線維化に関わる過程へのアプローチとして研究されている分野です。主に、間葉系幹細胞の抗炎症作用や、細胞から分泌される因子に着目した基礎研究・臨床研究が行われています。※1
*脂肪肝・肝硬変に対する幹細胞治療は標準治療として確立されたものではなく、原因に応じた診療や肝臓専門医による管理に代わるものではありません。※2
このような方からご相談を受けています
- 健康診断でAST、ALT、γ-GTPなどの数値を指摘された方
- 脂肪肝、肝線維化、肝硬変と説明を受けた方
- 飲酒習慣と肝臓への影響が気になる方
- 糖尿病、脂質異常症、肥満などがあり、脂肪肝について確認したい方
- 肝硬変と診断され、今後の検査や生活管理について相談したい方
東京リライフクリニックの取得科目
東京リライフクリニックでは、「再生医療等安全性確保法」に基づき治療内容・細胞の取扱い・管理体制等について審査を受けた再生医療等提供計画を提出し、厚生労働省により受理された幹細胞治療を提供しています。
受理 PB3240268:自己脂肪由来幹細胞を用いた肝障害治療

脂肪肝・肝硬変の主な原因

脂肪肝や肝硬変には、代謝異常や生活習慣、飲酒、ウイルス性肝炎、自己免疫性疾患など、複数の背景が関わることが多くあります。一昔前、脂肪肝といえばアルコール摂取によるものが多かったですが、今は生活習慣に伴う代謝異常による脂肪肝(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患:現在はMASLDと呼ばれます)と、長期的なアルコール摂取による肝障害が、大きな割合を占めるとされています。
原因によって必要な検査や診療方針が異なるため、肝機能の数値だけで判断せず、背景疾患を確認することが重要です。※3、※4
代謝異常・生活習慣による脂肪性肝疾患
脂肪肝は、肝臓に脂肪が付きすぎている病態です。脂肪細胞からは炎症性物質が分泌されることがわかっており、MASLDが進行すると炎症を伴うようになり、非アルコール性脂肪肝炎(MASH)になります。
そして近年この非アルコール性による脂肪肝が非常に増えており、肝臓の状態を継続して確認することが必要です。※5
(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、肝臓への脂肪蓄積に加え、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの心代謝リスクが関係する総称です。)
長期的な飲酒によるアルコール関連肝障害
飲酒は、脂肪肝・肝炎・肝線維化・肝硬変につながる背景の一つです。
肝機能異常がある場合は、飲酒量や飲酒習慣を確認し、必要に応じて禁酒・節酒に向けた支援を検討します。※4
その他の背景疾患
B型・C型肝炎ウイルス、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病なども、慢性的な肝障害や肝硬変につながる背景疾患です。※4
B型・C型肝炎ウイルスによる肝炎では、ウイルスの種類や肝臓の状態に応じた抗ウイルス治療が診療の基本となります。幹細胞治療は、B型・C型肝炎ウイルスを対象とする抗ウイルス治療として確立されていません。※6、※7
自己免疫性肝炎では、疾患に応じた薬物療法や経過観察が必要です。※8
本ページで紹介する幹細胞治療のヒト臨床研究は、自己免疫性肝疾患を対象としたものではありません。※9〜※12
ただし、複数の要因が重なっている場合もあるため、検査結果や既往歴を踏まえ、原因に応じた診察を受けることが大切です。
肝臓の病気はどのように進行するの?
脂肪肝→肝線維化→肝硬変
上記原因に関わらず、肝機能障害の進行は大体同じです。
脂肪肝、慢性肝炎、アルコール関連肝障害などによる炎症や障害が長く続くと、肝臓が修復する過程で線維が蓄積し、肝線維化が進むことがあります。線維化が進行すると、肝臓が硬くなり、肝臓の働きや血流に影響する肝硬変に至る場合があります。※4、※5
肝硬変→肝癌
肝硬変では、腹水、黄疸、食道・胃静脈瘤、肝性脳症などの合併症がみられることがあります。また、慢性的な肝障害や肝硬変は、肝がんの発症リスクに関わる要因の一つです。
B型肝炎では、肝硬変に至る前に肝がんがみられる場合もあるため、原因疾患に応じた定期的な検査が重要です。※4、※6

ただし、病気の進行速度や経過には個人差があり、再生医療についても、どの病期にどの細胞・投与方法が適切かは確立されていません。
再生医療による治療のメカニズム
肝疾患を対象とした再生医療では、主に間葉系幹細胞がもつとされる抗炎症作用や、細胞から分泌される因子に着目した研究が行われています。肝臓の炎症や線維化に関わる過程を支える可能性が検討されています。※1
1.炎症に関する研究
間葉系幹細胞を用いる研究では、免疫反応や炎症に関わる細胞・サイトカインとの関係が検討されています。肝臓内の炎症環境に関わる過程へのアプローチが研究されています。※1
脂肪性肝疾患やアルコール関連肝障害では、食事・身体活動・体重・糖代謝・脂質代謝・飲酒状況などを含めた管理が基本となります。※4、※5
2.HGF・MMPなどに着目した線維化に関する研究
肝線維化では、コラーゲンなどの細胞外マトリックスが肝臓内に蓄積します。間葉系幹細胞から分泌するとされるHGFやMMPについては、主に基礎研究において、組織修復や線維化に関わる過程との関連が検討されています。※1
ただし、これらは研究段階の知見を含むものであり、脂肪肝・肝硬変に対する臨床上の結果を保証するものではありません。生活管理や既存の薬物治療は、自己判断で中止・変更しないことが重要です。

脂肪肝・肝硬変に対する幹細胞治療の研究報告
以下は、ヒトを対象に実施された臨床研究です。研究の多くはアルコール性肝硬変、非代償性肝硬変、または脂肪性肝疾患・MASHを背景とする肝硬変を対象としています。
研究内容 | 規模 | 報告内容 |
|---|---|---|
アルコール性肝硬変患者に対し、自己骨髄由来間葉系幹細胞を用いたパイロット試験※9 | 12名登録 | 11名中6名(54.5%)で明確な線維が柔らかくなった/線維化の原因物質が有意に減少 |
アルコール性肝硬変患者に対し、自己骨髄由来間葉系幹細胞を用いた多施設・無作為化・非盲検第II相試験※10 | 72名 | 1回、2回ともに投与前と比較して有意に減少。 |
非代償性肝硬変患者に対し、自己骨髄由来間葉系幹細胞を用いた無作為化プラセボ対照試験※11 | 27名 | 投与群とプラセボ群に明確な有意差はありませんでした。 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)または脂肪性肝疾患を背景とする肝硬変患者に対し、自己脂肪組織由来再生細胞(ADRCs)を用いた多施設臨床試験※12 | 7名 | 6名の患者で、肝臓のタンパク質合成能力が改善/5名が肝臓の血液凝固因子の合成能力が改善 |
※これらの研究は小規模臨床であり、効果を保証するものではありません。
2025年の国際的な非営利組織コクランが作成した医療レビューでは、非代償性肝硬変の成人823名を含む12件の無作為化臨床試験が評価されました。
死亡、重篤な有害事象、生活の質、合併症、肝機能検査などについて、ヒト幹細胞と対照群との差を確実に判断できるだけの根拠は不足していると整理されています。※2
幹細胞治療の副作用・合併症・注意事項について
治療効果には個人差があります。本治療は未承認の自由診療であり、当院運営の細胞培養センターにて加工した自己細胞を使用します。また、本治療を受けることによる危険性としては、皮下脂肪の採取や細胞の投与に伴い、合併症や副作用が発生する場合があります。代表的なものとして脂肪採取時には、出血や腫れ、アナフィラキシーなど、また投与時もアナフィラキシー、肺塞栓、吐き気などの可能性があります。
幹細胞治療の副作用、合併症、注意事項についてのページをご覧ください。
治療の流れ
幹細胞治療は大きく分けて点滴または局所注射による投与のどちらかがメインですが、脂肪採取や培養の流れなど大まかな流れは変わりません。
詳細については幹細胞治療の流れをご覧ください。
料金
点滴スタンダード幹細胞 1回
年間保管料
参考文献
※1 Kang SH, et al. Gut Liver. 2020.
※2 Aung HH, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2025.
※3 日本肝臓学会.肝臓病の理解のために.2020.
※4 日本消化器病学会・日本肝臓学会.患者さんとご家族のための肝硬変ガイド.2023.
※5 European Association for the Study of the Liver, et al. J Hepatol. 2024.
※6 European Association for the Study of the Liver. J Hepatol. 2025.
※7 日本肝臓学会.C型肝炎治療ガイドライン 第8.4版・簡易版.2025.
※8 European Association for the Study of the Liver. J Hepatol. 2025.
※9 Jang YO, et al. Liver Int. 2014.
※10 Suk KT, et al. Hepatology. 2016.
※11 Mohamadnejad M, et al. Liver Int. 2013.
※12 Sakai Y, et al. Regen Ther. 2021.



