フレイルは加齢に伴う自然な変化の一部と捉えられがちですが、その背景では自覚症状のない段階から細胞レベルの変化が進行している可能性があります。将来の健康を見据え、早期からの対策が重要です。
こんな悩みの方にご相談いただいています

・最近、疲れやすくなったと感じる
・以前より体力や筋力の低下を感じる
・健康に良いことを積極的に取り入れたい
・将来もできるだけ自立した生活を維持したい
・年齢に応じた身体の変化に不安がある
・定期的に体の状態をチェックしたいと考えている
・生活習慣だけでなく、より専門的な健康管理を検討したい
このような段階でご相談いただくことが多く、症状が明確になる前からの対応が重視されています。
フレイルとは
フレイルとは、加齢に伴い心身の機能が低下し、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態のことです。病気ではないものの、フレイルの状態が続くと将来的な機能低下につながる可能性があると考えられています。

代表的な評価項目は、以下の通りです。
・体重減少
・疲れやすさ
・筋力低下
・歩行速度の低下
・身体活動量の低下
身体面だけでなく、意欲の低下や外出機会の減少といった精神面や社会面の変化も含めて評価されます。
評価項目のうち複数が当てはまる場合、フレイルの可能性があるとされています※1。
これらの変化は表面に現れる前から体内で進行している可能性があると考えられています。そのため自覚症状が少ない段階から状態を把握し、早期に対応することが重要です。
フレイルの主な原因
フレイルの主な原因は、慢性炎症・老化細胞の蓄積・ミトコンドリア機能の低下の3つです。

1.慢性炎症
加齢に伴い、体内では自覚しにくい軽度の炎症状態が持続することがあります。この慢性炎症は、筋肉や臓器の機能に影響を与える可能性が示唆されています※2。
2.老化細胞の蓄積
分裂を停止した老化細胞は年齢とともに蓄積すると考えられており、周囲に炎症性の物質を放出することで体内環境に影響を与える可能性があります※3。

3.ミトコンドリアの機能低下
細胞内でエネルギーを生み出すミトコンドリアの機能は加齢とともに低下する可能性があり、これが疲れやすさや活動量の低下につながる要因の一つと考えられています※4。
これらの変化はいずれも自覚症状が少ない段階から進行する可能性があります。そのため、症状として現れる前の段階から体内の状態を把握し、早期に対策を検討することが重要だと考えられています。
フレイルの進行度合い

フレイルは段階的に進行すると考えられており、一般的には健康な状態からプレフレイル、フレイル、要介護状態へと移行していきます※1。
プレフレイルの段階では明確な自覚症状がないことも多く、日常生活に大きな支障はありません。しかし体内では、筋力や代謝機能の変化がすでに始まっている可能性があります。
そのまま対策を行わない場合、徐々に筋力低下や活動量の減少が進み、フレイルの状態へ移行することがあると考えられています※1。
早めの予防が理想
フレイルは、症状として現れる前から体内で変化が進行していると考えられており、慢性炎症の持続や細胞機能の変化は、加齢に伴って徐々に進行することが示唆されています。※2
そのため、疲れやすさや筋力低下を自覚した段階では、すでに複数の要因が重なっている可能性があるでしょう。
こうした背景から、フレイル対策は症状が出てからではなく、未病と呼ばれる段階での対応が重要とされています※1。
早期から状態を把握し、生活習慣の見直しや身体機能の維持に取り組むことが、将来的なリスクの低減につながる可能性があります。
従来のアプローチと当院の考え方
従来のフレイル対策は、運動習慣の維持、栄養バランスの改善、社会参加の促進といった生活習慣へのアプローチが中心です。これらは予防の基盤として重要とされています※1。
一方で、近年ではこれらに加えて、細胞レベルでの変化に着目する考え方も広がっています。フレイルの背景には、慢性炎症や老化細胞の蓄積、ミトコンドリア機能の低下といった変化が関与している可能性があるためです※2※3※4。
当院では、こうした体内の状態をより早い段階で捉えることが重要であると考えています。その一環として、エピジェネティックな変化を指標とした検査を取り入れ、個々の状態に応じた健康管理のサポートを行っています。
症状が現れてから対応するのではなく、変化の兆しを把握しながら将来を見据えた選択を行うことが、これからのフレイル対策において重要だと考えられます。
フレイルに対する当院の細胞レベルアプローチ
当院では、フレイルの背景にあると考えられている細胞レベルの変化に着目し、幹細胞・NK細胞療法などの再生医療、およびエクソソーム・NAD+点滴による細胞レベルアプローチをご提案しています。いずれも体内環境の維持や調整をサポートすることを目的としたものであり、個々の状態に応じて選択します。
1.幹細胞点滴
幹細胞はさまざまな生理活性物質を分泌することが知られており、これらの成分が体内環境に働きかける可能性が研究されています。特に、慢性炎症と呼ばれる状態に対して、環境のバランス維持をサポートすることが期待されています。近年の臨床研究においても、新たなアプローチとしての可能性が報告されています※5。
2.エクソソーム点滴
エクソソームは、幹細胞が分泌する情報伝達物質の一つであり、細胞間のコミュニケーションに関与すると考えられています。筋肉の減少を抑制し、運動機能の維持をサポートします。幹細胞そのものではなく、分泌された成分を中心としたアプローチであり、オペを必要としない幹細胞治療の体験として、比較的導入しやすい選択肢として人気です。
3.NK細胞療法
NK細胞は免疫機能を担う細胞の一つであり、体内の異常細胞に対して働く役割があると考えられています。近年の研究では老化細胞との関係性を示唆しており、老化細胞の蓄積に対するアプローチとして、注目されています。※7
4.NAD+点滴
NAD+は、細胞のエネルギー工場と呼ばれる『ミトコンドリア』でのエネルギー産生に関わる重要な補酵素であり、加齢とともに減少することが知られています。近年の研究では、NAD+が長寿関連因子であるサーチュイン遺伝子をサポートし、加齢によるミトコンドリアの機能低下にアプローチする可能性が示唆されており、細胞機能の維持に関与する可能性が示唆されています。※8
これらのアプローチは、いずれも細胞レベルでの変化に着目したものであり、従来の生活習慣改善と併せて検討されることで、より包括的な健康管理につながる可能性があります。
期待できることと現時点での限界
当院のフレイル関連治療(幹細胞療法・エクソソーム・NK細胞療法・NAD+点滴)は、慢性炎症やエネルギー代謝など、細胞レベルの変化に着目した次世代のアプローチです。
一方で、これらは現在も研究が進行している新しい医療分野です。効果の現れ方や実感には個人差があり、すべての方に同一の結果をお約束するものではありません。
あくまで体内環境を整えるサポートであり、運動・栄養管理といった基本的なフレイル対策と組み合わせることが重要です。
参考文献
※1 Fried LP, et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001;56(3):M146-156.
※2 Ferrucci L, et al. Nat Rev Cardiol. 2018.
※3 Childs BG, et al. Nat Rev Drug Discov. 2017.
※4 Sun N, et al. Mol Cell. 2016.
※5 Ruiz JG, et al. Cell Stem Cell. 2026;33(3):393-404.
※6 Mahindran E, et al. Int J Mol Sci. 2023;24(9):7833.
※7 Bai Z, et al. Cell Death Dis. 2022;13(4).
※8 Fang EF, et al. Trends Mol Med. 2017.



