更年期障害に対する幹細胞治療とは
更年期障害は、加齢に伴うホルモンバランスの変化により、身体面・精神面にさまざまな不調が現れる状態です。女性だけでなく男性にも起こることがあり、症状や原因は一人ひとり異なります。
東京リライフクリニックでは、ホルモン補充療法や漢方薬などの従来治療に加え、再生医療の可能性も踏まえながら、患者様の状態に応じた治療選択肢をご提案します。
更年期障害とは
更年期障害とは、ほてりや発汗、不眠、倦怠感、気分の落ち込みなど、心身にさまざまな不調が現れる状態で、男女ともに加齢によるホルモンバランスの変化の様々な症状が現れます。
女性の更年期障害に類似した心身の不調は、男性ではLOH症候群・加齢男性性腺機能低下症候群として扱われることがあります。女性では卵巣機能の低下、男性ではテストステロンの低下が関係します※1 ※2。
治療には、ホルモン補充療法や漢方薬、生活習慣の見直しなどがあります。近年では、卵巣機能低下や卵巣老化などの関連領域で、幹細胞を用いた再生医療の研究も進められています。
こんな症状の方にご提供しています
更年期障害の症状は、身体症状、精神症状、自律神経症状など多岐にわたります。検査で明らかな異常が見つからない場合でも、日常生活に支障をきたすことがあります。
男女の更年期障害でみられる症状
女性更年期障害では、閉経前後にエストロゲンがゆらぎながら低下することで、図に示されているような症状が現れることがあります※1。
男性更年期障害は、加齢に伴うテストステロンの低下に加え、ストレスや睡眠不足、生活習慣などが関係すると考えられています。※2そして男性の場合、女性と違い症状がゆっくり進むことも多く、加齢や疲労として見過ごされることがあります。

更年期障害の原因
更年期障害には、ホルモンの低下だけでなく、自律神経や脳の働き、心理的・社会的ストレス、炎症、生活習慣など、様々な要因が複雑に関与して発症すると考えられています。

1. 卵巣・精巣の機能低下によるホルモン変化
女性では、40代後半から50代にかけて卵巣機能が低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が不安定になります※1。
男性では、加齢や生活習慣の影響により、男性ホルモンであるテストステロンが低下することがあります※2。
2. 自律神経の乱れ
女性の更年期では、先の卵巣機能の低下によりエストロゲンが大きくゆらぎながら低下します。この変化が自律神経に影響し、ほてり、発汗、動悸、不眠などの症状につながることがあります※1。
男性では、やはり精巣機能の低下からテストステロンの分泌低下に繋がり、筋力、意欲、性機能、精神面に影響が出ることがあります※2。
3. 中枢神経系(脳)と炎症反応の関与
ホルモンの変化は、脳の視床下部や免疫システムにも影響します。
視床下部は自律神経を司るので、これにより体温調節や睡眠、発汗、心拍などの調整が不安定になると言われています。
一方で免疫システムが乱れることにより全身の慢性炎症が起こり、倦怠感、関節痛、ブレインフォグ等の更年期症状が現れやすくなります。
男性と女性では減少するホルモンは異なりますが、更年期症状に至るまでの原因はどちらも同じです。
再生医療による治療の考え方
幹細胞治療は、ホルモンを直接補う治療ではありません。幹細胞が分泌する成分を通じて、炎症や免疫、細胞環境に働きかけることを目的とした治療です※3。
1. パラクリン作用による細胞環境への働きかけ
幹細胞は、サイトカインや成長因子、エクソソームなどを分泌し、周囲の細胞に働きかけると考えられています。これをパラクリン作用と呼びます※3。
卵巣機能低下に関する研究では、間葉系幹細胞が血流や炎症、酸化ストレス、細胞死などに関わる経路を調整する可能性が報告されています※3 ※4。

2. 抗炎症作用による全身環境への働きかけ
幹細胞のもう一つの特徴が、強力な抗炎症作用です。幹細胞治療には、炎症反応や免疫応答を緩やかにする働きがあることが、基礎研究や関連領域の研究で示唆されています※4、※5。
更年期に対する幹細胞治療の有効性は、標準治療として確立されているわけではなく、保険が適用されない自由診療です。治療の可否は医師の面談を通して、最終的に医師が適応を判断します。
東京リライフクリニックで取得している幹細胞の治療科目
東京リライフクリニックでは、「再生医療等安全性確保法」に基づき治療内容・細胞の取扱い・管理体制等について審査を受けた再生医療等提供計画を提出し、厚生労働省により受理された幹細胞治療を提供しています。
受理番号PB3240267:自己脂肪由来幹細胞を用いた更年期に伴う症状への再生医療

エクソソーム、幹細胞上清液による代替治療
当院で幹細胞を検討しているが、気軽に試してみたいと考えている方向けに以下の治療も提供しています。
幹細胞を培養する過程で幹細胞が分泌した成長因子やエクソソームを取り出した幹細胞上清液による点滴治療があります。気軽に幹細胞点滴の効果を試せるとして人気です。
先の幹細胞上清液から更にその修復物質だけを取り出して投与するエクソソーム治療も取り扱っております。こちらも細胞採取を伴わないため身体への負担が軽く、幹細胞治療との併用や単独での投与としても人気です。
ホルモン療法や漢方薬など従来の治療との違い
更年期障害の治療には、ホルモン補充療法や漢方薬、生活習慣改善、心理的サポートなどがあります。症状や体質、既往歴に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。※4, 6
幹細胞治療は、こうした治療を置き換えるものではありません。ホルモン療法は不足したホルモンを補う治療、漢方薬は体質や症状のバランスを整える治療です。
一方、幹細胞治療は炎症や細胞環境に着目した治療として位置づけられます。
治療法 | 特徴 | 向いている方 |
|---|---|---|
ホルモン補充療法 | 投与継続が前提。中止後に症状が再び現れる可能性がある。一部の癌の発症の可能性や血栓症等のリスクで使用できない場合も。 | 特定症状を今すぐ抑えたい方 |
男性ホルモン補充療法 | 投与継続が前提。前立腺への影響等の定期的な評価が必要 | テストステロン低下が確認された方 |
漢方薬 | 作用が穏やか。細胞レベルの環境改善や微小炎症への直接作用は限定的 | ホルモン療法が合わない方、複数の不定愁訴がある方 |
生活習慣改善・心理的サポート | 症状の根本にある細胞環境・炎症への直接的影響は限定的 | 生活リズムやストレスの影響が大きい方 |
幹細胞治療 | 抗炎症作用とパラクリン作用により細胞環境そのものへのアプローチが可能。 | 従来治療で十分な改善を感じにくい方、薬を使いにくい方 |
※幹細胞治療は自由診療であり、効果に個人差があります。
更年期障害に対する幹細胞治療の研究報告
更年期障害そのものに対する幹細胞治療は、まだ研究段階の領域です。一方で、早発卵巣不全や卵巣機能低下、卵巣老化などに対して、間葉系幹細胞の作用を検討する研究が行われています。※3 ※4
研究内容 | 規模 | 結論 |
|---|---|---|
臍帯由来間葉系幹細胞による卵巣機能の回復と妊娠の誘発 ※5 | 14名 | 数年の不妊治療で妊娠出来なかった人が対象だが、14人中2人は妊娠に至る。その他にも女性ホルモン濃度が上昇した。 |
幹細胞移植による性機能障害のある人の性機能改善※7 | 31名 | 男性ホルモン濃度は有意に改善。女性ホルモン濃度は改善傾向のみ |
不妊治療でほとんど卵子が採れない「難治性低反応者」の女性に対しての幹細胞治療 ※8 | 17名 | 13名に卵巣機能が改善 |
早期卵巣不全に対しての幹細胞治療 ※4 | 15名 | 3ヶ月後から有意に改善も1年後には有意差はなくなる。15名のうち4名は薬を追加することなく生理が再開。 |
※これらの研究は全て小規模臨床です。治療効果を保証するものではありません。
幹細胞治療の副作用・合併症・注意事項について
治療効果には個人差があります。本治療は未承認の自由診療であり、当院運営の細胞培養センターにて加工した自己細胞を使用します。また、本治療を受けることによる危険性としては、皮下脂肪の採取や細胞の投与に伴い、合併症や副作用が発生する場合があります。代表的なものとして脂肪採取時には、出血や腫れ、アナフィラキシーなど、また投与時もアナフィラキシー、肺塞栓、吐き気などの可能性があります。
幹細胞治療の副作用、合併症、注意事項についてのページをご覧ください。
料金
点滴スタンダード幹細胞 1回
年間保管料
参考文献
※1 日本女性医学学会. 更年期女性に認められる症状.
※2 日本泌尿器科学会/日本Men's Health医学会. LOH症候群診療の手引き. 2022.
※3 Igboeli P, et al. J Med Case Rep. 2020.
※4 Kim HK, Kim TJ. Biomolecules. 2024.
※5 Guo C, et al. Front Endocrinol. 2023.
※6 日本女性医学学会. ホルモン補充療法の正しい理解をすすめるために.
※7 Nguyen TL, et al. Stem Cell Rev Rep. 2021;17(6):2153-2163.
※8 Herraiz S, et al. Fertil Steril. 2018;110(3):496-505.
※9 日本産婦人科医会. 更年期障害に対する漢方療法.
※10 Ding L, et al. Sci China Life Sci. 2018;61(12):1554-1565.
※11 Zafardoust S, et al. Arch Med Res. 2023;54(2):135-144.



