糖尿病の進行を抑えるために――薬だけに頼らない、新しいアプローチが広がっています。
こんなお悩みはありませんか?
- 真面目に薬を飲んでいるのに、HbA1cがなかなか下がらない
- 治療を続けるうちに、薬の種類や量がどんどん増えてきた
- インスリン注射の負担を、少しでも減らしたい
- 透析・失明・神経障害といった合併症の進行が心配
- これ以上、新しい薬を増やしたくない
このページでは、こうした「薬だけでは限界を感じている方」に向けて、血糖値という「結果」だけでなく、その根本にあるβ細胞の減少や慢性炎症そのものに働きかける「幹細胞治療」という新しい選択肢をご紹介します。
なぜ悪化するのか?「2型糖尿病」の原因とメカニズム
長年治療を続けていても病状が進んでしまう背景には、薬だけでは対処しきれない3つの根本的な問題があります。

1. 慢性炎症が悪循環を加速させる
内臓脂肪から、「TNF-α」や「IL-6」と呼ばれる悪玉物質(炎症性サイトカイン)が放出されており、これが体の中でくすぶり続けると慢性炎症を引き起こします。この慢性炎症がインスリンの働きを邪魔するだけでなく、β細胞そのものにも直接ダメージを与え、機能低下の悪循環をさらに加速させてしまうのです※1。
2. インスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)
慢性炎症が続くと、インスリンを受け取る側――筋肉や脂肪などの細胞が、インスリンに反応しにくくなることです。その結果、血液中のブドウ糖を十分に取り込めなくなります。

3. β細胞が減り、弱っていく
インスリンの効き目が悪くなることで、膵臓のβ細胞は、過剰にインスリンを分泌し続けるようになりますが、やがて限界を迎え、自ら力尽きて死んでしまう「アポトーシス(細胞死)」を起こし、少しずつ体から失われていきます。研究では、2型糖尿病患者のβ細胞の数は健康な方と比べて約40〜60%減少しており ※2、診断時点でインスリンを分泌する機能もすでに約半分まで低下していると報告されています※3。
この3つは互いに悪化し合う関係にあります。インスリン抵抗性が強まると、膵臓は不足を補おうとインスリンを過剰に分泌し続け、その負荷でβ細胞はさらに疲弊・減少していきます。慢性炎症は、このインスリン抵抗性とβ細胞のダメージの両方を同時に悪化させるため、悪循環がますます加速します※4。
既存の薬は「血糖値を下げる」が、β細胞の減少は止められない
現在の標準治療は、食事・運動療法に加えて、複数の薬剤で血糖値を下げることが中心です。セマグルチド(オゼンピック)やチルゼパチド(マンジャロ)等のGLP-1受容体作動薬はHbA1cを約1.0〜1.8%改善しますが ※5、中止すればリバウンドし、減り続けるβ細胞そのものを守ることはできません※6。
また、薬でHbA1cの数値が安定していても、β細胞は少しずつ減り、インスリン分泌力も年々落ちていきます。「真面目に薬を飲んでいるのに、薬がどんどん増える」——それは、今の薬が血糖値を下げることはできても、β細胞そのものを守る作用までは持っていないからです。
合併症は「進んでから」では遅い

β細胞が減り続けると、インスリン分泌力が落ちて血糖コントロールが次第に難しくなります。その結果、慢性的な高血糖が全身の血管や神経を少しずつ傷つけ、網膜症・腎症・神経障害・動脈硬化といった合併症へとつながっていきます。糖尿病腎症は、日本における透析導入原因の第1位でもあります※7。
問題は、一度傷ついた血管や神経は、薬でも幹細胞治療でも完全には元に戻せないことです。透析や失明といった段階まで進んでしまうと、できることは大きく限られます。
だからこそ、まだβ細胞が残っていて、血管や神経の障害が浅いうちに、根本にアプローチして進行を遅らせまたは停止させることが重要になります。
幹細胞(再生医療)という新しい選択肢

血糖値を下げるだけでなく、β細胞やインスリン抵抗性そのものに働きかける治療法――この発想から注目されているのが、幹細胞を用いた再生医療です。
間葉系幹細胞(MSC)を使った幹細胞治療は、再生医療等安全性確保法のもとで、すでに国内で提供が可能です。ご自身の腹部から少量の脂肪を採取し、そこに含まれる自己脂肪由来間葉系幹細胞(AD-MSC)を培養して点滴で投与します。
・自分自身の細胞を使うため、免疫拒絶のリスクが極めて低い
・採取は局所麻酔下で短時間で行え、身体への負担も軽い
・厚生労働省への届出のもとで提供される、国の制度に基づいた治療
なお、iPS細胞を使ったβ細胞移植研究も進んでいますが、現時点ではまだまだ実用化には至っておりません。
幹細胞が糖尿病にどう働くのか? ― そのメカニズム
投与された幹細胞は、体内の傷ついた組織が出す「SOS信号」をキャッチし、血流に乗って膵臓などのダメージ部位に自ら集まります。そこで幹細胞は、体の修復を助けるさまざまな物質を放出します。
期待される主な作用は4つです。
- 弱ったβ細胞を守り、機能回復を助ける — 幹細胞が出す成長因子が、β細胞の死滅を抑え、膵臓への血流を改善して栄養供給を助けると考えられています。※9
- 全身の炎症を鎮め、インスリンの効きを改善する — 糖尿病では内臓脂肪などで慢性的な炎症がくすぶっており、これがインスリン抵抗性の大きな原因です。幹細胞にはこの炎症を鎮める免疫調節作用があると報告されています。※10
- 膵臓だけでなく全身に作用する — 肝臓・筋肉・脂肪組織でもインスリンの効きが改善され、全身的な血糖コントロールの向上が期待されます。※11
- 合併症の進行リスクを下げる可能性 — 抗炎症作用や血管修復作用を通じて、糖尿病の合併症(網膜症・腎症・神経障害)の進行抑制にも寄与する可能性が示唆されています(詳しくは下記「予防医療としての再生医療」を参照)。
これらはいずれも「期待される作用機序」であり、すべての方に同様の効果を保証するものではありません。
どんな方が対象になるのか? ― 適応と治療目標
適応の目安
- 発症から比較的早い時期の2型糖尿病(β細胞が完全に枯渇する前)
- HbA1cが概ね8〜12%で、薬だけでは十分にコントロールできていない方
- 治療前のCペプチド値(β細胞がまだ働いているかの指標)が一定以上残っている方(目安:空腹時血中Cペプチド 1.0 ng/mL以上 ※8)
※適応は病歴・罹病期間・全身状態・BMI等を総合的に評価し、個別に判断します。 ※HbA1cやCペプチド等の数値が分からない場合でも、初回のカウンセリング・血液検査で適応を判断いたしますのでご安心ください。
治療目標
幹細胞治療で糖尿病を完治させることは難しいです。既存の治療を底上げする併用療法として、以下のような変化を目標にします。
- 注射や服薬の負担を減らしたい方に — インスリン投与量の減量を目指します
- 数値をこれ以上悪化させたくない方に — HbA1c値の安定化を目指します
- 将来の透析や失明のリスクを少しでも下げたい方に — 合併症の進行抑制を目指します
臨床試験で報告されている効果
幹細胞治療の有効性については、複数の臨床試験が報告されています。
試験 | 対象 | 主な結果 |
|---|---|---|
Skyler 2015 ※12(プラセボ対照RCT) | 61名 | HbA1c 0.3〜0.6%改善 |
Nguyen 2021 ※13(RCT) | 30名 | 罹病10年未満・BMI<23の患者で有意に改善 |
Liu 2014 ※14(パイロット試験) | 22名 | HbA1cの有意な改善、β細胞機能の改善傾向 |
Jiang 2011 ※15(パイロット試験) | 10名 | インスリン必要量の有意な減少(p<0.01)、C-ペプチド上昇(p<0.05) |
※いずれも小規模な初期段階の試験であり、大規模な検証試験はまだ行われていません。
※重篤な副作用はいずれの試験でも報告されていません。
幹細胞治療は既存の薬に取って代わるものではなく、標準治療と組み合わせて使う「補完的なアプローチ」です。
予防医療としての再生医療 ― 深刻な合併症(透析・失明)を未然に防ぐために
糖尿病の本当の怖さは、血糖値そのものではなく、長年の高血糖が全身の血管を傷つけることで起こる合併症です。透析・失明・足の切断・心筋梗塞・脳卒中――これらは一度進行すると元に戻すことができません。
幹細胞治療が注目されているのは、合併症が起こってからの治療ではなく、「起こる前に進行を遅らせる」という攻めの予防という視点です。
- 血管のダメージを細胞レベルで修復 — 幹細胞は血管内皮の修復を助ける因子を分泌し、微小血管障害の進行を抑える可能性が示唆されています
- 全身の慢性炎症を鎮める — 合併症の根底にある炎症に広く作用し、複数の臓器への蓄積ダメージを和らげます
- β細胞を守り、血糖の安定化を後押し — 根本の血糖コントロールを改善することで、合併症リスクそのものを下げていきます
エクソソーム治療という選択肢
幹細胞から分泌される修復物質だけを取り出して投与するエクソソーム治療も、予防的な使い方ができる選択肢の一つです。細胞採取を伴わないため身体への負担が軽く、幹細胞治療との併用や単独での投与も可能です。
東京リライフクリニックの幹細胞治療
日本で再生医療を提供するには、第三者委員会(特定認定再生医療等委員会)の審査を経て厚生労働省に届出を行う必要があります。当院の幹細胞治療は第二種再生医療等に分類され、この制度のもとで提供しています。
・計画番号 PB3240266:自己脂肪由来幹細胞を用いた糖尿病治療

自社CPCによる一貫管理
自社CPC(細胞培養加工施設)を院内に保有しており、細胞の採取から培養・品質検査・投与まですべてを一貫管理しています。外部への輸送がないため、温度変化や汚染のリスクを排除できます。
投与前には細胞数・生存率・無菌性など複数項目の品質検査を実施し、基準をクリアした細胞のみを使用します。
大学との研究連携
東京大学との共同研究により、安全でより効果の高い細胞を提供できるよう、培養方法の改善を続けています。
治療の流れ
カウンセリング、診察、検査、脂肪採取、培養を経て最終的に点滴を用いて投与します。詳細の流れに関しては、幹細胞治療のページをご覧ください。
幹細胞治療の副作用・合併症・注意事項について
治療効果には個人差があります。本治療は未承認の自由診療であり、当院運営の細胞培養センターにて加工した自己細胞を使用します。また、本治療を受けることによる危険性としては、皮下脂肪の採取や細胞の投与に伴い、合併症や副作用が発生する場合があります。代表的なものとして脂肪採取時には、出血や腫れ、アナフィラキシーなど、また投与時もアナフィラキシー、肺塞栓、吐き気などの可能性があります。
料金
点滴スタンダード幹細胞
プレミアム幹細胞点滴
Relife幹細胞
年間保管料
まずはご相談ください
「自分に合う治療なのか分からない」「検査だけでも受けてみたい」——そんな方も、まずはお気軽にご相談ください。初回のカウンセリングで、血液検査の結果をもとに適応があるかどうかを丁寧にご説明いたします。
治療を受けるかどうかは、ご相談の後にゆっくりお決めいただけます。
参考文献
※1 Hotamisligil GS. Nature. 2017;542(7640).
※2 Butler AE, et al. Diabetes. 2003;52(1).
※3 UKPDS Group. Diabetes. 1995;44(11).
※4 Kahn SE, et al. Nature. 2006;444(7121).
※5 Marso SP, et al. N Engl J Med. 2016;375(4). / Marso SP, et al. N Engl J Med. 2016;375(19).
※6 Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021;384(11).
※7 日本透析医学会. わが国の慢性透析療法の現況. 2024.
※8 日本糖尿病学会 編. 糖尿病治療ガイド 2024-2025. 文光堂.
※9 Caplan AI, Dennis JE. J Cell Biochem. 2006;98(5).
※10 Gao F, et al. Cell Death Dis. 2016;7(1).
※11 Si Y, et al. Diabetes. 2012;61(6).
※12 Skyler JS, et al. Diabetes Care. 2015;38(8).
※13 Nguyen LT, et al. Stem Cells Transl Med. 2021;10(9).
※14 Liu X, et al. Stem Cell Res Ther. 2014;5(2).
※15 Jiang R, et al. Front Med. 2011 Mar;5(1):94-100.
よくある質問
- Q:痛みはありますか?A:
脂肪採取は局所麻酔下で行うため、強い痛みはほとんどありません。投与は一般的な点滴と同程度です。
- Q:入院は必要ですか?A:
不要です。脂肪採取・投与ともに日帰りで行えます。
- Q:今の薬やインスリンと併用できますか?A:
はい。幹細胞治療は既存治療の補完であり、中止する必要はありません。主治医と連携して進めます。
- Q:効果が出るまでどのくらいですか?A:
個人差がありますが、投与後1~3ヶ月程度で血糖値やHbA1cに変化がみられる場合があります。
- Q:何回投与が必要ですか?A:
一般的に1~3回を1クールとしてご提案しています。

監修医師:中尾 真紀
眼科専門医としての豊富な臨床経験に加え、再生医療および抗加齢医学の知見を融合した医療を実践。エビデンスに基づく先進医療と丁寧な対話を重視し、患者一人ひとりに寄り添った最適な医療の提供に取り組んでいる。2026年より東京リライフクリニック院長に就任。
TEAMS(医師・培養士紹介)



